ふるさと味めぐり

素材編
トロトロの食感に隠された栄養と旨味
長芋

いも類の中では珍しく生で食べられることから、すりおろして「とろろ」にするのが代表的な長芋。スーパーでは「長芋」や「山芋」として販売されていますが、実は山芋という品種なく山芋は「ヤマノイモ科」に属するいも類の総称で、長芋もこの中に分類されています。生産量は北海道が1位、青森県が2位となっていて、土壌や気候が大きく関係しています。気温が高い地域では長芋がどんどん伸びて細長くなってしまいますが、夏頃から気温が下がる地域では旨味の濃い太い長芋が作られています。

Point
ポイント

滋養強壮だけじゃない!
長芋のチカラ
長芋にはアミノ酸の一種であるアルギニンや、ビタミンB群など疲労回復を促してくれる栄養素が含まれています。また、でんぷんの消化を助けるジアスターゼという酵素が豊富に含まれているため、他のいも類と違い生で食べることができます。そのため胃もたれが起こりにくく、食欲が減退しがちな夏にもおすすめの食材とされています。
美味しい長芋の見分け方は「太さ」。長芋の食感を楽しむには刻んだものや漬物にしたものがおすすめですが、すりおろしてとろろにしたり、短冊切りにしてかき揚げにしたりしても美味しく召し上がることができます。
青森県産の長芋は味と香りに定評があり、特に刻んで食べた時のシャキシャキ感が特徴的です。今回の「青森県産長芋とオクラの和え物」は長芋と相性の良いオクラと合わせ、さっぱりとした味付けに仕上げました。
長芋の生産地
青森県上北郡六戸町を訪れる
六戸町では50年以上前から長芋の生産をしていて、雪や雨量も少ないことから長芋をはじめとした根菜類に適した地域です。長芋には秋に収穫する秋掘りと、土の中で追熟させて春に収穫する春掘りがあります。これは冬にはしっかりと土の温度が下がりますが、凍るほど寒くない青森県だからこそできることです。
長芋を生産している川村青果さんでは、自社栽培の畑が約60町(東京ドーム約12.7個分)で年間250トンほど、契約農家と合わせると1,000トンほどの長芋を収穫しています。
長芋は、葉の付け根にできる「むかご」と呼ばれる種状の芽を成長させ「種芋」になったあと土に植えることで栽培ができますが、1つ1つ大きさなどが異なるため全て手作業で種植えが行われます。また、長芋には珍しい「マルチ栽培」という畑の表面をポリフィルムなどで覆って栽培をしており、これにより天候に左右されず、安定して長芋の生産ができるそうです。
一般的に、畑の土に石灰分が足りないとカルシウム欠乏症となり、作物に穴が空いてしまうなどの症状が現れますが、川村青果さんではカルシウム剤を使用することで欠乏症の改善を行いました。さらに、川村青果さんの畑の土は水はけが良く水持ちも良いため、乾燥した土での栽培が適した長芋作りには最適で、有機物や肥料を独自の配合で使用しながら育てることにより、大きさや味に優れた長芋が作られています。
川村専務は「青森の長芋は歯ざわりが良いので、その食感を楽しんで食べてほしい」とおっしゃっていました。